近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

拙速と言われ続けている電子投票の歴史を書いています。第三弾【国会審議編】


 拙速と言われ続けている電子投票の歴史を書いています。
 自分の置かれた立場を考慮しつつも、誰よりも切り込んで書いてみました。

 第三弾【国会審議編】
 電子投票改正法案が衆議院を通過した翌日の12日に、参議院の「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」で質問者の民主党中村哲治議員(当時)が提案者の答弁が納得できないとして紛糾し散会となり、そのまま会期末を迎え審議未了の廃案になった時の問題点を指摘します。

○法案提出までの経緯
 政治家の身分を左右する選挙に関わる法案は、他の法案と違いマイノリティに配慮する慣例みたいなものがあります。
長い年月を掛けて議論の場を設けても、参加もせずに聞き入れない抵抗勢力はありましたが、電子投票法が成立してから6年間の間に、議論と有効性の立証を続け、所属議員なら誰でも出席し議論ができる調査会でも多数の賛成を得て、党内手続きも問題なく国会に提出されました。民主党とも超党派国会議員連盟「電子式投開票システム研究会」で話し合われ、国対でも了承されて手続き的に瑕疵はありません。

 これは、質問者の民主党中村哲治議員(当時)が「民主党の総務部門の役員会でも、衆議院での質疑者が審議が終わってから賛否を決めていたら反対していた」と述べていた事からも、国会での委員会の前に、国の正式機関ではない国会対策委員会で話し合われた八百長運営で進めないと損得などの利害でまとまらない事があるらしい。
 当時の丸川珠代(現環境大臣)議員も初々しく「どうせ通すんでしょ!」的な野次を飛ばしていた。

○機器の運用も理解できない者同士の不毛な議論
 この審議で不毛な議論になった大きな原因は、国対で民主党も法案成立を了承したので、専門家である政府参考人(総務省)を呼ばないという騙まし討ちで、自分たちの法案をねじ込みたかった事にある。
 だから与党提案者が信頼性の担保として「検査機関」を提案しているのに対し、執拗に自分達が提出している可視化法案に絡めて有体物に固執した途上国以下の考えを主張してかみ合わなかった。

 国家を担う能力がある政党ならば、「検査機関」は、検査(Checklist(PCI DSS))なのか、監査(Risk Firast(ISNS))なのかを問い、司法、立法、行政の何処に設置するのかとなど制度として議論するのが国会議員の仕事のレベルだろう。
技術的機能要件を盛り込む知恵も無く、録画やバーコードなどの製品を取り入れろと食い下がる姿こそ、まさしく利権だと思います。
 指南をした学者同様に、程度の低い話し自体が利権だと気付かないのが泣けてくる。
【参考】武田圭史 » 国政選挙における電子投票の脆弱性

 指南されたのか、オープンソースだとか、もっともらしい言葉を使いますが、いまではその弊害も取り出されています。 そして、責任の所在が不透明でも影響が少ないものと、信頼性が不可欠な投票とは根本的な用途が違います。

 この審議で質問されたシステム的な話しは総て答え切れますが、個別的な仕様に関わる問題は利害も絡み、立法府としては制度的に議論すれば、今のような異常な政治体系にはならなかったでしょう。次回の【小賢しい電子投票システム議論】で書いてみます。

 諸外国では、正確性とバリアフリーの観点で、電子投票以前から投票自体に機器を使っていますが、日本では逆で、投票以外では総てが電子化され、国民の意思を正確に投じられる環境だけが蔑ろにされている。投票弱者への忖度も無い状態で「民主主義は守りたい。」は有り得ないと思うのは私だけだろうか。

 そして、この時に民主党が主張した企業の知的財産を公開して分け与える考え方も、共産党と組んで共産主義国家になった時にお願いしたい。どっちかと言うと維新よりも共産党との連立の方があっていると思います。
 民主党と学者が電子投票の可能性を閉ざした結果、国内での開発は休止しましたが、外国の企業が試行錯誤した特許は各国の検査機関で認証され実用化しており、民主主義途上国日本では、回避することは困難でしょう。
 私も、まともなシステム監査機関も無い国内で、不毛な議論に翻弄されないメリットを感じているので、必要な特許の許諾は了承されています。

 質問者の中村哲治議員のブログ(日付までも間違っています)(笑)

d.hatena.ne.jp

 何故かセキュリティー、高齢者、利権と、一貫して間違っている自民党参議院議員と同じ視点なのが気になります。そして、公党との約束を反故にした信頼性を欠く行動が閉塞感を生み参議院不要論の原因にも感じます。因みに最近の安倍総理も一院制を言い出している。

 それ以上に、質問者に資料提供をした『国立国会図書館調査及び立法考査局政治議会調査室』の情報収集能力も国家機関として劣っているのか、拾える手頃な活字だけで作文をしているのか、はたまた、意図的にトリミングされているのかわかりませんが、国会議員が正しく判断ができる情報は、霞ヶ関や永田町だけでは限界と錯覚で、正しい判断ができる環境とは言えない。
 この時の資料や話しが正しければ、地球上から電子的な投票記録方式は消滅している筈ですが、普及が進んでネット投票まで実施されている。

 間違った情報を活字に残した学者や専門家に、諸外国の電子投票と、日本の電子投票の違いを問いたい。
 そして、正しく判断ができる環境を考えるべきだろう。
 これからのIT時代には、公的なシステム監査機関は不可欠だと気付いて欲しい。

 余談ですが、廃案になって自民党参議院議員により、電子投票の反対署名が出されましたが、当時署名をした前参議院議員と道でばったりと会った時に、「私が真剣にやっていることを知っていながら、よく署名できたね」と問い掛けたら、「署名しなければ追い出される状態だったのを分かって」と悪質なカラクリを教えられました。
 野党が確りとチェックができない状態では、電子投票も自分たちに都合の良い体制が出来てから進められ、ITバージョンのゲリマンダー化する恐れがある。正しく判断も行動も出来ない政党の末路が浮かびます。

 電子投票が危険だから国政選挙では認めないという姿勢は、法律で実施が認められている地方自治体はどうでも良いというもので、民主党の「地域主権国家」の想いの程度が理解できました。

 マニフェスト選挙が開始してから政権を取るまで、欠かさず電子投票推進を政策に入れて頂きましたが、民主党政権時代に何も行動しなかったことで、大半の電子投票導入自治体が廃止しました。
 アップした『自由で公正な社会を実現するための 民主党8つの約束』で政権を取った約束の中でも、7項目目に「電子投票制度の国政選挙への導入」(当時の実力者小沢一郎幹事長のウェブサイトから抜粋)が入っています。

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作文みたいな政策の前に、偏見を捨て、現実を把握する力を得る為にどうするのかを、真剣に取り組んで頂きたい。