近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

四半世紀も拙速と言われ続けている電子投票の歴史の総括です。第四弾【小賢しい電子投票システム議論】Part3

第四弾【小賢しい電子投票システム議論】Part3
 議論をする前に電子投票とは、ただの生活をしやすくする為の国民の「便利」を求める公共システムサービスなのか、それとも国家を形成する民意を正しく反映させる国民の「合意」を求める共生システムなのかという次元の違いから、根本的なアプローチが異なっていました

 例えるならば、同じクルマでも、カーステレオやテレビやエアコンなど、快適な装備を付け加えただけで、有る物を使うから走る安全性も確認はしないクルマと、フルシーズン確実に安心して走る事を追求したクルマの違いのように思えます。

 前者は実証実験もせず事故を起こし、その後の議論も同じ視点の安易なもので検証もしていないから、解決への糸口が掴めずに消滅しています。
 後者は、投票する側が操作しやすく確りと確認できるインターフェイスと、投票プログラム及び民意の結果の保護を重視して、国内初導入から現在までを問題なく継続しています。
 そんな事で、大きな分岐点となる法制化前の実証実験、エピソード0から話しをはじめてみます。

[実証実験]
 機器の開発と共に電子投票が選挙人の意思を正確で安全に実施できる事を証明する為に、著名な日本の学者やマスメディアだけでなく、海外の選挙関係機関にも立ち会って頂き、検証評価を積み重ねて参りました。実証実験は、自治体の協力で公職の選挙と同じ日時に投票所の出口で実施して、開票所への投票記録データの送致も本番さながらの運営をしました。
 総て公開で実施したので、新聞、テレビでも取り上げられ、国民への啓発活動も兼ねて浸透して参りました。

 やはり机上とは違い、臨場感のある現場では、ヒューマンエラーの起こる問題とセキュリティを含めた対策が見えてきます。システムで管理するべき物と人が確認するべき物を切り分けて、拡張性と柔軟性を考慮しながらミスを無くす「簡単」と、誰でもわかりやすい「簡便」を確立しました。
 上手く説明ができませんが、a × c + b × c などを a + b )cと簡素化しても結果は同じという感じです。​
そして、法制化前に我々が主張した事は総てにおいて立証しました。

[投票(自力)の機会の平等とは]
 また、投票所にスロープは付いても投票のバリアフリーが無い事も重視して、全国46箇所の障がい者や老人施設でも約1,600人の当事者に実験の協力を頂き、意見を取り入れ開発しました。

 我々もアンケートを含む評価も数字でまとめますが、それとは別に全技術者も参加して活字や数字では取りこぼされる部分を感じて頂きました。技術者たちは「この人達の力になりたい」と実験後も障がい者の要求を掴む為に何度も通い、様々な方が居りますのでベストではありませんが、誰にでも投票ができるものを作り上げ、国内だけでなく海外でも高い評価を受けています。

 私も別の角度で肢体不自由者などのお話を聞かせて頂きましたが、投票弱者は、ほどこしが受けたいのではなく、社会に関われる参加を望んでいます。さらに、自力で投票ができないから政治家も話を聞きに来ないで都合の良いサービスを作り、社会から「してあげている」という自尊心を失う環境に問題を感じていました。

 健常者だけの視点で無く共生の観点からも、綺麗ごとを言う前に現実を直視すると、やるべき正しい方向が見えると思います。健常者の投票が簡単だとか、集計が早いなどは副産物であって正解ではありません。

[政府の対応]
 当初は、旧自治省も有権者に混乱を与えるなどと自治体へ実証実験への協力を反対していましたが、混乱も無く国民の期待感が高い事から法制化も進み、最後の実証実験には口出しも無く、法制化後には総務省が発行した技術基準書は、殆ど我々と同じ内容だったので分かりやすかった。
 当時の総務省選挙部長が、100年以上も変わらない投票用紙優先の思考で怠慢をブッこいていたから、我々の上辺だけの模倣をするだけで、前回述べたように法規的欠陥が生まれたと思います。
(-。-) ボソッ

[研究者へ]
 また、外部通信ネットワークの利用や個人情報IDカードの利用などの電子投票も、海外で実証実験や公職の選挙で証明して参りました。
 これだけの規模と公的な環境での実証実験は、海外でも珍しく国内では他にありません。
 海外でも信頼された政治哲学と、国家としても必要性を感じたから可能だったと思います。

 このように、国内で事故を起こした企業が実証実験を怠らなければ、故障する機器も違法性の高い運用で誤魔化す事も無く、はたまた、世間知らずの学者や専門家の選挙というデリケートな部分を見ようとせずに、法規や人など多くの要素が欠落したまま、机上で生み出した亡霊がさまよう事も無かったでしょう。まるで自分の方が詳しいという誤想した優位性で、情報漏えいなどを起した​IT犯罪者と同じ匂いを感じます。

 一度でも具現化して検証すれば、実施以外のメンテナンス、輸送、保管も含めたビジョンも生まれ、我々のように14年間も問題なく運営できます。

日本の話題性重視で検証も無く根拠の乏しい浮評でも、メチャクチャにできる環境では「頑張った人が報われる社会」では無く、「頑張った人が馬鹿を見る社会」が継続されているので電子投票が衰退した事を指摘したい。

 別に言論を封じ込めるつもりは無く、社会に間違った情報をまき散らして迷惑にならないように、新しい物が正しく検証と評価できる環境が必要です。
 浮評の根拠こそ(ブラックボックスで)検証されず脆弱な社会環境を生み出している。

[専門家でないからしがらみも無く自由に発想ができます]
 そもそも、私たちはIT屋さんでは無く、日本最大の政治課題である選挙改革で、投票インフラが原始的だから抜け出せない問題を提起しただけなんですが、政治側に突き付けられたハードルが高く、いつの間にか私が矢面に立っただけなので技術的な拘りはありません。

 しかし、我々以外は電子投票機の基盤設計からしている企業も無く、残念ながら度重なる説明をしても一業者の製品説明にされて参りました。

[時間を掛けてもできない事は、安定した先行国から学んでください]
 我々は実証実験で積み上げたものが有ったにせよ、法律が施行されてから2ヶ月足らずでまとめ上げ完成できたものを、10年近くもカタチにできないのなら、真に悔しい想いもありますが、これからは、無理に程度の低い議論をするよりも、海外で実施しているシステム監査方法を取り入れて学べば良いかと思います。

[地に足がついた問題の解決方法]
 この業界で気付いた事ですが、自治体ごとの統一されていない特注仕様は、OSやソフトの更新時にバッチ修正もできず、バグが発生する恐れがあるので、選挙システムこそバックフィットを採用するべきだと思います。
 また、混乱の元凶となる無駄な研究開発を避ける為にも、民主主義を理解して日本の選挙制度に合わせたシステム要件と基準書の作成も必要です。
 そうすれば、不毛な過去の問題に捕らわれずに、どこのシステムでも、信頼されるものだけが世に出されるので国民も安心すると思います。

 もし、システム監査機関が創設されるのなら、信頼性の担保を議論して欲しいですね。
 できれば、経験豊富な実務経験者の参加が実用性を高めると期待したい。
 しかし、判断に利害が絡むので司法と同じく弾劾される場も必要だと思います。
 それに近い環境で監査をした経験者として申し上げると、良いか悪いかの判断と正しい決断へと導いてくれるアプローチの神様が降臨します。(笑)

 この廃案により私たちが多くの人達を巻き込んで創り上げてきたものが否定され、法案再提出には情勢変化が必要なので、国会議員に知恵を与えて廃案に導いた方々に対案を委ねる事にして参りましたが、廃案以降は、なしのつぶてで困惑しています。
 我々の地道な研究開発と啓発活動で、100年以上も変えられなかった投票制度の近代化は、扉は開きかかったまま、電子投票では全く実績の無い人達に中途半端に止められている。

 電子投票の実績が無くても専門家になれて国家の根幹に影響を与える環境こそ、民主主義へのセキュリティが欠落している国家だと国会議員は認識して欲しい。
 自民党推進議員も「一度だけチャンスが有った」と当時を振り返り「民主党からアクションを出して欲しいが、そんな力は無いだろう」と硬直状態が続いています。
 四半世紀も続けていると初期の問題意識を持った気骨のある人達は引退され、継承しただけの人達では、根本的な間違った議論のボタンのかけ違いを直さない限り、ただ目先の新しい物をすり替えるだけの誤った方向へ向かうでしょう。

 システム監査機関や第三者認証検査は、既得権の岩盤をあけるドリルとして最適な考え方だと思いますが、永田町や霞が関では声を上げるのが困難なようなので、誰か主権者である国民側の声を出すことを願っています。

[研究者への願い]
 日本を代表する企業の度重なる事故で不安視されていますが、諸外国の大手IT企業は、電子投票の開発も製造も実施もしていません。
 先ずは、この事実の「何故?」を研究者は調べると良いヒントと方向性が見つかるので、実用的な対策と信頼できるシステム監査機関を推奨して欲しいですね。

 好きな言葉に『有名無力、無名有力』がありますが、ものづくりには、しがらみの有る看板よりも自由に発想できる環境を大事にして欲しい。しかし、大企業は、社内的に進めている高速光ディスクの売り込みとか、キオスク端末に使えるとかで、電子投票に関係の無いものが原因で事故が起こりました。

 我々が実施している電子投票は、法的に制限をされまくっているのでベストでは無く、まだまだのり代の方が大きいので、投開票のガラパゴスにならないように、未来へ正しい進化への道筋を作って頂きたい。

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[歴史から見る真実]
 アップした写真は、今から14年前の2002年6月23日に、日本で初めて電子投票が実施された新見市の投開票日翌日の大手新聞社の紙面を、我々EVSのパンプの表紙に使ったものです。
 電子投票導入時は、有権者の約9割に喜ばれ、次への段階が見えて参りましたが、途中から後発企業が異物(電子投票の概念から外れたもの)を混入したまま、内容を明らかにしないで撤退しました。今ではデータ改ざんや異物混入をすれば企業側のコンプライアンスが問われますが、その後の議論は異物に集中して混入側の議論が全くされずに13年間も実態と乖離した話しから抜け出せないでいる。

 単純に言えば、誰かがパイロット導入を企業の製品検査の場だとハードルを下げさせ、企業に吹き込んでやらせたので、議論を摩り替える必要が有ったのでしょう。
 当時は、ネットインフラも普及されていなかった時代でしたので、大企業のお目当ては、通信を利用した導入の第二、第三段階で、投票所という川下のネットインフラ整備のシェア競争で競わせましたがネットの急激な普及で約束したニンジンが無くなった事情も関係していると思います。
 だから初めっから投票そのものには、関心も情熱も無かった企業も存在していました。

 我々は、国内初導入から瑕疵も無く、国内実施の中でも最大面積、最大投票所数、最大有権者数、最大実施日数(県知事選挙期日前投票)、複数の自治体の同時実施など、他のベンダーの投票所に技術者を配置する人海戦術のその場しのぎの対策では対処ができないような統一された運用設計で、一貫してぶれずに実施で証明しています。
 導入の大きな障壁になった停電問題は、新見市実施で落雷が落ちて投票所が停電になりましたが、落雷対策により機器は正常に機能し、停電対策で問題無く継続出来ました。この時の議会選挙では、一票差で当落が入れ替わる激戦でしたが、導入当初からオープンな説明努力を続けてご理解を頂いていたので、異議申し立てはありませんでした。

 今年1月に実施された青森県六戸町の電子投票も、雪深いマイナス気温の中で10年以上も使用している機器を、職員の自主管理で実施されました。
 特例法なので二種類の投票制度が存在しており、煩雑による事故を防ぐために、我々は統一した運用確認で職員研修講師を派遣しております。システム技術者では無く、他に職業を持つ普通の方が電子投票実施のスキルを身につけて行っております。​
(今回は農家の方でした)
 つまり、各投票所に専門技術者が必要と国会議員に取り入った専門家の主張は、当時5万4千箇所の投票所に配置する人材が居ないと否定論に利用されただけで、世界中の実施を見ても馬鹿げた根拠の無い話でした

 実用化に向けて検証し尽くせば、人やシステムへの対応が見えてきます。
 また、学者や専門家が対策も知らず、全体も把握していない知識での、「悪意からの脅威」を言って市販の対策ソフトや機器などを国会議員に勧めていましたが、法的にネット接続が禁止されている機器に、どうやって選挙の度に更新インストールをするのか、また、そのインストール自体の安全性を含めた運用方法も考えていないのと、それだけの対策では、防げる可能性も蓋然性も測れないレベルなのが悲しい。
 私は凡人なので国民へシステム提供をする責任者として、対策を含めて確実だと思えないものを扱えるほどの勇気はありません。
 さらに、安易に暗号化など複雑にする構造は、ドイツの司法でも、一般市民が容易に検証のできない電子投票を問題視されました
 選挙とは国民のもので有り、当事者の理解が必要です。何が何でも高度な技術を入れたいのなら、血税を使ってまでも必要なのかを含め、国民の代わりに検証できる専門機関が無くてはなりません。
 現段階では、運用とシステム対策で対応できます。
 詳しくは私のブログに書いています。

evs.hatenablog.com

[悪意]
 学者などは悪意を防御するだけの話に留まっているが、完全な防御である0リスク議論自体が危険で、悪意があった場合の露呈する処置が抜け落ちている

 社会的な閉塞感を生み貧困問題の元凶は、民間で作り上げた物を、自ら生み出す事もできない税金で世話になっている者たちの貧困な発想で潰している事にある。

 学者を含め様々な売り込みが有りますが、我々は何ができるのかの有効性を見ています。しかし、我々を含め電子投票システム提供企業から、提案した対策ソフトを跳ねたからと言って逆恨みをして、国会議員に吹き込み廃案にされました。

 政府の第三者認証検査を受けた機器を否定した論文では、機器を見せて貰った感謝からなのか、政府の第三者認証検査を受けないで廃棄されるメーカーの投票機が専用機だから対策されていると論文に書かれているのは笑った。
 私はその投票機を選挙人の投票行動だけでクラッシュさせました。
 また、総務省の担当官も「宮川さん、ゴミ箱が有ったりゲームができる専用機って有りますか?」と中身がパソコンだった事に憤慨された機器でもある。

 そもそも、セキュリティとは、ウイルスやマルウエアなどのシステム的な悪意だけの問題だけではない。

 このように、学者たちは民主主義を唱えて電子投票を指摘しましたが、どの代替え案もその場しのぎで人への配慮が欠落しているから、投票弱者も理不尽に放置したままにできるのでしょう。

 自力で投票ができる方法があるのに、個人の秘密を晒さないとできない環境は、憲法の人権の平等から見ても異常な常態が継続され、いつの間にか電子投票議論は消滅しました。

 その後、特例法と私の個人的な正確な民意が反映した責任ある社会が見たいという個人的な願いだけが残り、支えて頂いている導入自治体並びに周囲に負担をかける存在になり心を痛めております。

[正しい候補者情報]
 次のステージの国民が候補者を正しく評価ができる仕組みにも着手したいのですが、管理側と候補者側の二足の草鞋を履くと、またマスコミに叩かれ、司法も守ってくれない環境なので、真剣に取り組んで頂ける方達の出現を願い、そして応援したいですね。

 電子投票は、学者の目を引く「脅威」と誇張した話は、バッシングしたいという思惑が一致しただけで、雑誌や民主党は採用しますが、正確性を重視した電子投票の現場では、危険なので採用はできません。

 とうとう、そんな都合の良いバッシングが国民に見透かされ、政治のバランスが失われている。そもそも振り子の揺れが大きい二大政党制において、バランスを失った現象は独裁を生み出し、政治改革も理想論だけで逃げ道のあるザル状態では、不正を誘発するのは自然な事だと指摘したい。

 度重なる政治とカネの問題でも検察が検挙できない状態が続き、選挙制度も司法が根本的な見直しを指摘していることから、現制度の元となる政治改革四法は老朽化している。

 企業献金を受けない代わりに、国民の血税で政党助成金が決まりましたが、できないようなら法的根底となっている小選挙区制を撤廃し、定数制に戻して定数分の候補者を選べる連記式にすれば死票も無くなり、マイノリティの意思も反映され易く投票率も上がるでしょう。

 さらに、二大政党制で大きくバランスが崩れるほど国民から嫌われている党首でも、地元の大手企業の岡田屋ジャスコ(現AEON)は、手形の振り出し元ですから支援組織も強く、それだけで御曹司は高い下駄を履いて当選できます。

 選挙法で選挙中は有権者に伝える媒体が制限をされ、このように土台が異なる状態では、平等という名の不平等を感じます。

 根本的に自民党は世襲で、民主党は鳩山元総理と同じくお金持ちが持ち上げられるが、本人の資質に関係なく高い下駄を履く伝統をどうするのかをハッキリと議論して、国民の意思に近い政治が実現できるのかの検証をすれば良いでしょう。

 政府機関だけで無く正しい情報を掴む努力をして政策を立案するにも、マスメディアの力を借りず国民に伝える為に、政治や選挙には、正しい事をする為にお金が掛かります。

 政治を取り巻く良い環境を育てる為にも、正しく使うルールが必要なだけで、無闇に出来もしない「身を切る改革」は、ズルい人たちが、より不正を生み出し、ルールを守る政治家が淘汰されるイメージしか湧きません。

 収支として出るものが決まっているから、裏金が増えるだけです。何よりもメスを入れるべき既得権益者達の手のひらで活動させられて、社会が良くなる訳がありません。

 そして、不正のカラクリを排除せずに、選挙区を丸や三角に形を変えるだけの議論をしても何も変わらない事は、政治改革四法で証明されています。

[最後に]
電子投票は理論ではなく、参議院では野党が第一党という時代の多数決の中で、民主党所属議員が自分たちの利害を持ち込み審議されなかっただけで、自治体の選挙では継続されているので間違ってはいません。

 全会派一致で成立した自治体選挙の電子投票が、国政選挙では認められない理由はハッキリとしない歪んだ常態で、憲法改正の国民投票方法を決めるにも大きな障壁になるでしょう。

 私自体も長く取り組んでいるから、権力の中枢にいる反対派に嫌われているようで、刺激を与えないようにとも言われている。正しく評価のできるシステム監査機関ができるのならば、正常な環境が望めるので、真剣に取り組んで頂ける人達に委ねたいと思っています。

 保身としがらみなどの利害に捕らわれない正しい判断で、正確な民意の反映を追求する研究も託したい。