近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

父、宮川隆義が永眠しました。

 本日、父、宮川隆義が永眠しました。

 何事においてもスケールの大きい親父でした。
 本人の意思により葬儀は行ないませんが、冥福をお祈り頂ければ幸甚に存じます。

 生前は、政治、選挙のレベルアップをライフワークとして取り組み、世界で初めての選挙専門企業を立ち上げるなど近代選挙の草分け的な存在でした。その理念は、日米のインテリジェンスのギャップを埋める国際会議を開催するなど、両国の政治家、学者、メディアに声を掛けて貢献してきました。

 50年前から正確な国民の意思を反映できる仕組みの研究を続け、電子投票を提唱するために世界中を啓蒙活動や実証実験で走り回り、諸外国で積み上げた電子投票実施の実績を黒船として、制限をされた特例法ですが、100年以上も変えることのできなかった国内の投開票の近代化にも貢献しました。
 しかし、電子化になっただけで、未だ本領に入っていません。

 これからと思いきや、我々の与り知らないところで起きた度重なる事故と隠蔽などで、導入機運が高まりかけた電子投票は、日本の悪い体質に翻弄されて、まるで電子投票が危険だといわれのない避難を浴びながら、提唱者として問題も事故も起こさない電子投票を国内で唯一提供しました。
 その理念は、今でも僅かですが実施自治体と共に法律を支えています。

 私は、そんな親父に、「国会議員の慎重派に加担する学者や専門家などの稚拙で不毛な議論に終止符を打ち、板ばさみになっている方々を疲弊させない為にも、相手に道を譲って自分たちで考えさせたら」と提案したところ、予想通りの強烈な反発に合いました。
 それは大きな賭けですが、もめていると何も進まない現状と、育成しないといけない低いレベルを理解し、最後は折れてくれました。

 翌日、親父は自宅で週刊文春の創刊50周年記念号の巻頭ページを飾る原稿の執筆中に、脳梗塞で倒れました。
 親父がやり遂げたかった高いビジョンを、息子の私が寿命からして諦めろと言ったようなものですから、やりきれない気持ちと起死回生を考えながら執筆していたからなのか、脳がパンクしたと感じています。

 順天堂病院に運ばれ、医者から脳の半分が真っ白に壊死したレントゲン写真を見せられながら「これ以上、良くなることはありません」と言われた時には、目の前の景色が暗くなり、力が抜けて座り込みました。

 しかし、翌日になって「うー」だけですが言葉に反応するとの連絡が有ったので、私は親父の執筆をしていたノートPCを集中治療室に持ち込んで、親父の書いた原稿内容から残りの3分の1の原稿4頁分を創作しながら読み上げました。
 案の定、「うー」で反応したので、一文節ごとに良かったら動く手の親指と人差し指で、駄目なら中指と人差し指を重ねて×で返事をしてもらいました。
 どちらかと言うと私は、ぼやけた感じで表現するので、親父が「うー、うー、うー」と指で×をつくり、固有名詞をあげろと要求します。
 私も候補者の気持ちを理解して表現をする仕事をしていましたから、生まれた時から付き合っている親父の考えは手に取るように分かるので苦労はありませんでした。
 原稿が出来上がり指でのサインを貰ったときは、生まれて初めて褒められたような気がしました。

 体中にコードや管が付いて目も開けられず、タンや唾も飲み込めずに吸引しないと気管支に詰まる状態の親父です。脳が半分という経験をした事が無いのでわかりませんが、不自由な状態でも記憶、判断、決断力や発信する意思には衰えはありませんでした。流石です。
 きっと医者や看護師が見た事も無い光景だったと思います。
 世間では選挙の神様だとか神通力などと言われ、理解ができない方には様々な憶測で噂さをされますが、それは能力のレベルでは無く、生き方の次元が違うからわからないのでしょう。

 しかし、そんな親父の考えをしりながら、二度も重大な判断ミスを私は犯しました。
 一つは、機運が高まり導入自治体も増えたので、我々の実施を見て学んだ他の企業にも実施の機会を与え、無理な金額の叩き合いのシワ寄せは、ミスや事故の原因となって衰退させない為にと譲ったこと。
 もう一つは、電子投票を語る方々に道を譲りましたが、我々以外に真剣に行動する者が日本に存在しなかったこと。

 どちらも想像を超えたいい加減さだったので、法制化前に主張していた認証検査制度を、再度、強く主張しながら正しい有り方を証明する為に実施を続けています。

 我々が国内初導入から14年も普通に実施して、世界でもネット投票の普及がはじまっているので、「電子は危険」と言われている方々は、何が危険で、どのような対策や仕組みが必要なのかを考えて頂ける事が供養だと思っています。
  心からお願い申し上げます。

 親父殿は主張に信念があるから迫力があって怖そうに見えますが、感性豊かな私を育てた親父なので、人々の行く末を考える根は優しい人です。

親父。
誰にもできないヒール役、お疲れ様でした。

 

《7月9日投稿のFacebookと同文》