近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

電子投票が選挙無効となったのは地球上で日本だけ。その判決文を簡単にマトメました。

 地球上で唯一、我が国が電子投票の選挙無効を受けました。
 世界では順調にネット投票まで導入していますが、日本が民主主義国の中で一番遅れているのは、電子投票の理念が間違っているのではなく、構造的な欠陥があります。

 再発防止のため、事故後は電子投票参入企業のシステムを第三者認証機関2社で行いましたが、事故を起こした企業は撤退を理由に検査を拒否しました。第三者認証検査を早期導入していれば、世界最大の電子投票事故(地球上で唯一の選挙無効判決)が起きずに民主主義の近代化への転換が出来たでしょう。

 また、紙の投票の投開票システムは、政府の認証検査が無い現状で、様々なミスを犯している。この可児市で事故を起こしたのが、紙の投開票機器最大手企業ムサシです。「不正選挙」でググって見るとこの企業の名前しか出てこない。

 今は、紙の投票でも、バーコード読み取りシステムで大きな問題を引き起こしている。

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可児市議会議員選挙の選挙の効力に関する審査申し立ての裁決書要旨

裁判所の判断

1.  違法な投票機による選挙の実施について

特例法4条1項1号「選挙人が一の選挙において二以上の投票を行うことを防止できるものであること」違法性あり
 ☆  二重投票は一時的とはいえ条件を具備していない状態にあったと認める。 

·   特例法4条1項2号「投票の秘密が侵されないもとのあること」違法性なし
 ☆  ログを追跡しても直ちに投票した候補者がわかるわけではないから、条件を具備していないとはいえない。 

·   特例法4条1項4号「候補者のいずれを選択したか確実に記録することができるものであること」違法性あり
 ☆  投票の失敗および投票の記録の削除は、一時的に条件を具備していない。

·   特例法4条1項5号「予想される事故に対して・・・記録を保護するための必要な措置が講じられている」→トラブルが原因とはいえ投票の記録を削除ことは、一時的に条件を具備していない。違法性あり 

·   特例法4条1項7号「権限を有しないものが投票機の管理にかかる操作をすることを防止するものであること」違法性なし
 ☆  暗証番号の管理に運用上の問題があるが、条件を具備していないとはいえない。

 特例法4条1項8号「投票機は選挙の公正かつ適正な執行を害しないものであること」違法性あり
 ☆  投票記録の削除自体は、人為的に行われるものではなく、複数の投票行為も最後の投票記録が投票として扱われる以上、選挙人の意思に反する処理が行われたとはいえない。選挙は、選挙人が自らの意思で候補者を選択することが重要であって、「投票したという認識がないのに投票が完了していた」ということ、「投票したと認識した投票記録以外の投票記録が採用される」ということ、あるいは、「投票機の異常等により投票を断念することが無いようにするための必要な性能が備えられていない」ことは、一時的とはいえ条件を具備していないと認められる。

2.  違法な選挙管理の執行について

·   投票カード取扱い記録の不作成→違法性あり 
  ☆  過誤

·   投票カードの不正発行→違法性あり
 ☆  事情があればカード再発行は可、ただし、投票の完了を確認せずカードを新たに発行するのは過誤

二重投票等について

·   2枚の投票カードの交付による二重投票について→違法性あり
 ☆  その場で投票の完了を確認することをせずに新たにカードを発行したことは過誤。別の選挙人に再発行した事実は認められない。 

·   1枚のカードによる二重投票について→違法性なし
 ☆  この問題は、管理執行上の過誤ではなく、特例法の条件を具備していないという違法の問題である。 

·   非選挙人による投票について→違法性あり
 ☆  選挙人名簿に登録されていない職員が投票したことは、公選法に違反する

·   障害発生中の投票について→違法性あり
 ☆  投票が確実に行われることが保障されていない状態で、選挙人に対し投票を行わせたのは不適切。投票機の異常を短時間で解消せず、復旧に要する時間についての情報を提供しなかったことは、投票を断念し棄権することにつながり、管理上の過誤 

·   選挙人の意思によらない白票について→違法性なし
 ☆  原告らの主張を認めるに足る証拠は無い 

·   記録媒体切り替え手続きの違法性→違法性なし
 ☆  立会人の立会いが無かったと認めるに足る証拠は無い

·   記録媒体の非封印について→違法性あり
 ☆  封印が無いことは特例法施行令2条5号に違反する

·   記録媒体の取扱いの誤りについて→違法性あり
 ☆  選挙管理上の過誤に該当 

·   記録媒体の改ざんについて→違法性なし
 ☆  ムサシ職員の違法行為は認められない投票記録の削除は人為的な関与に基づいて作為的になされたものではない。特例法4条1項の問題として取り扱うべき。記録媒体の封印の有無をもって改ざんと認める根拠とはならない。

·   不正工作について→違法性なし
 ☆  認められない 

·   違法な開票の執行について→違法性なし
 ☆  ムサシの従業員が、開票管理者、立会人を無視して開票事務を行ったという証拠は無い。

·   複写した記録媒体による開票について→違法性あり
 ☆  正が破損または紛失していないにもかかわらず、複写を使用したことは違法である。

·   投票記録の削除について→投票所は違法性なし、開票所は違法性あり
 ☆  投票所において投票記録を削除することは特例法9条4項「記録媒体に記録された投票を電子計算機を用いて集計する」には抵触しない。ただし、開票所で投票の取捨選択は違反する。 

3.  投票を断念した選挙人の数について

 ・・・結局本件において受付前で待機していた選挙人の数を具体的に確定することはできないが、過少申告の疑いがある復命書に記載された概ね1000人という数字を下回ることはないと考えられる・・・2投票所において合計20人を超える選挙人が一旦帰ったことが認められることを考慮すると・・・・全29投票所では多数いたと認めることができる。

4.  選挙の結果に異動を及ぼす虞の有無について

 本件投票機は特例法4条1項1号、4号、5号および8号の条件を一時的に具備していない状態にあったこと、市選管の選挙管理上の過誤により、各投票所において本件選挙の結果に異常を及ぼすところがあると認められる票は合計27票である。

・・・投票を済ませずに帰った選挙人の数は多数に上るのであって、・・・投票をせずに帰り、投票をしなかったと推測ないし認定できる選挙人9人を含む多数の者が、本件投票機に異常が発生したことにより、投票を断念せざるを得なかったと認められる。

・・・・最下位当選者の得票総数と次点者の得票総数が逆転するとことがあり、本件選挙の結果に移動を及ぼす虞があると認められる。

したがって、

本件選挙は無効である。

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 追伸
 開票所で投票された票を削除するシステムを設計した専門企業も、採用した自治体も違和感が無いことが、我が国の深い闇だと感じています。