近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

総選挙結果分析

 総選挙結果分析(その1)
 総選挙が終わってから約束していました投開票事務のミスと電子投票について調べていましたが、やはり民意と制度の仕組みの方に好奇心が向いてしまい、休日の殆どを投票結果の分析に費やしてしまいました。

 政党の得票数を有権者数で算出した絶対得票率では16.99%で83.01%の国民からは無視をされながら信任を得たという安倍総裁と、勝利に浮かれて自共が対峙できているような錯覚を起こしている共産党の志位委員長。
 分析しなくても分かっていましたが、投票率の低下も他の野党の雑な政治活動と決断力の欠落が原因で票に現れています。
 その中で共産党が浮かれている理由を小選挙区の供託金没収点(有効得票総数÷10)で見てみました。ご存知の通り供託金没収は、売名行為や泡沫候補を防ぐ為にありますが、前回は全選挙区に擁立し215人(立候補者の75%)が売名行為と認定され、6億4500万円も没収されましたが、今回は候補者調整をした沖縄以外の全選挙区に292人中100人(立候補者の37%)しか売名行為にならず3億万円の没収で済んでいます。つまり、各選挙区で平均約8,000票を増やしただけで低投票率にも助けられて、115人が泡沫候補から格上げされた上に3億4500万円も浮いたわけですから、勘違いしてもおかしくないですね。(笑)
 それにしても世界でも類の無い高額な供託金も、一般の方にはハードルが高いだけで、組織の基礎票に重点を置いて国民が参加しないと意味が無いような感じがしました。
 今回の選挙が、政治離れに拍車が掛かる分かれ道にならないように願います。

 追伸
 投開票ミスを読む度にうんざりして作業が進みません。
 連休中に、ちょっと思考を変えてやってみます。

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 総選挙結果分析(その2)
 共産党は、中選挙区時代から全選挙区に候補者を擁立していました。
 駆け出しの頃に、「全く勝てる見込みも無いのに何故?」という素朴な疑問を先輩に聞いたら、全国調査をやるより安上がりで正確に共産党支持を調べられるからだそうです。
 統一したアピールと、人物で選ばれる候補者が僅かなので、それから私も分析をする上でひとつの目安として重宝しています。
 毎回、選挙の内容でやり方が異なりますが、今回の総選挙は、とてもシンプルな構造なので、各選挙区を前回の乱立した候補者の票が何処に行ったのかを基準に、Webで集めた資料から算数程度の計算で算出してみました。(これは趣味なのでイメージ優先です)

 前回の候補者で今回は出馬しなかった候補者たち(A)の10,676,665票(区割りを変更した選挙区を除く)に、投票率が下がった分(B)の6,472,422票を差し引き、今回の候補者が減らした票(C)の2,959,033票を加えたものを浮動票と考え、その票の行方を各選挙区で見てみました。

 A - B + C =浮動票(7,163,276票)

 そして浮動票の33.3%が共産党に流れ一選挙区平均8,349票を増やした。また、他の野党が候補者擁立を見送った28ヶ所の選挙区では、一選挙区平均22,163票と265%も増やしている事から共産党が頑張ったのではなく、おこぼれに与っただけの感じを受けます。しかし、それを含めても、共産党が獲得した票を平均したら、一選挙区24,110票ですから、当選ラインにかすりもしません。
 
 今回躍進した?共産党が、唯一票を減らし供託金没収候補者を増やしたのが東北ブロックです。他の地域の選挙区では、コンスタントに出馬しなかった候補者たちの票を得ているのに、福島1区では、前回の未来の5万票に投票率が下がった分2万票を差し引いても3万票が浮動票として有るにも関わらず、5千票も減らしている。前回の総選挙では、原発問題も争点になっていた事を思い浮かべると、ここに共産党のウィークポイントを感じます。

 いまの政治に困窮している地域は、本当に実効性のある政治を求めているのでしょう。 

 追伸
 与党は、アベノミクスの恩恵が期待される関東や大都市圏では票が伸びているが、全国的に見ると210,359票減らしているので、前回の選挙のより戻し分を含めて他の野党は、浮動票の66.7%増やしています。しかし、票が伸びない最大の原因は、批判だけで自分の土俵を作らなかった政策や日ごろの政治活動に問題を感じます。
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 総選挙結果分析(その3)
 今回の状況下で票を伸ばした野党候補者の理想的な例を挙げる前に、対照的な駄目な例を書きます。
 傾向としては、「当選しても前回よりも票を失っている」、「解党したみんなの党と未来の票や次世代の党の候補者が失った票を、他の候補者と仲良く票を増やしている」または「他の候補者と同じように仲良く票を減らしている」などです。
当選者の中から話題的にタイムリーな候補者の選挙区を、個人名が有るので立場をわきまえて簡単に説明します。
 ●静岡5区の細野候補は、第45回184,328票、第46回156,887票、そして今回143,012票と、当選しても票を減らしている典型的な下り坂の例です。
 ●三重3区の岡田候補は、これも仲良く票を減らす典型的な例です。前回と同じ政党候補者の戦いに成りましたので、有効投票数が減った票を候補者票に振り分け、減票分をパーセンテージにすると投票率の低下は、有権者に愛想を尽かされた岡田候補の責任のように感じます。また、第45回173,931票、第46回126,679票、そして今回は120,950票と下り坂。原理主義者が主義を曲げると、ただの○○○かな。
 ●東京7区の長妻候補は、票を伸ばしているが、解党した未来の票や次世代の党の候補者が失った票を、他の候補者と仲良く票を増やしている典型的な例です。それも次世代の党の吉田候補は、都議会議員時代は民主党に所属していたので、本来なら票は民主党候補に流れるはずが、長妻候補に流れた割合が一番低い。
 第45回167,905票、第46回100,872票、なんとか今回は104,422票と民主党代表候補の中では僅かですが票を伸ばしています。
 しかし、厚労大臣時代に、法律改正手続きを踏まず、年金担当課長による通知だけで、救済策として未納者まで救済をしてしまったミスの追求も震災で“消えた”が、代表者ともなるとネットで再炎上しそうな気がします。
 ☆民主党候補者で、理想的な与党の票を減らして当選した選挙区は、共産党にも僅かな票が流れた北海道8区、愛知3区、和歌山1区と、完全に他の候補者票をもぎ取った新潟3区、長野1区の僅か5選挙区しか無い。次は必ず書きます。

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 総選挙結果分析(その4)
 突然の解散、それに準備期間が短い、そして争点も無いことから与党有利と早くから報道されていた中で、与党票を奪い当選した民主党候補者が5人いました。
 共通点は、全国ネットのテレビでは見かけないので一般では知られていない。そして、小選挙区制の欠点である政党の風まかせで無かった候補者の中から、浪人中からの返り咲きと現職の例を投稿しました。
 ☆返り咲いた北海道8区の逢坂候補の場合は、Facebookを見ていると落選直後から街頭活動をしていた。名前の通り【逢坂誠二の徒然日記】も毎日更新しているので興味が有れば手に取るように考えや行動がわかる。もし、政策が伝わらなくても政治への熱意と人としての信頼は伝わってきました。近頃は、テレビ電波の力が自分の発信力だと過信している政治家が多いが、テレビは一方的に伝え、国民の顔や声は伝わって来ないデメリットもあります。
 現選挙区ではないが、逢坂候補がニセコ町長時代からタウンミーティングの先駆けのような取り組みを行っていたので、国民との対話を大事にしている姿勢が感じられます。
 ☆連続当選を果たした長野1区の篠原候補は、第43回、第44回と現参議院議員小坂憲次第45回衆議院議員総選挙で落選するまで選挙区では敗北し比例復活をしていた。相手の小坂憲次氏は、財閥の家系で大叔父、祖父と信濃毎日新聞社主であった地元のメディア王です。厳しいマスメディアの目で、悪いことが有るならば書きまくられ、良い事をしても一行ぐらいしか報じられない完全アウェイの噂話しを耳にした事があります。そんな状況で鍛えられたのか、ただ否定するのではなく、元官僚の知識とアイディアで代案を出して納得させるところがあるようです。また、第45回総選挙で小坂憲次氏が落選した要因は、高齢化した支持者が投票所へ行けなかった事が大きかったにも関わらず、国会議事録を検索すると、自分の有利不利に関係なく選挙や投開票の合理化にも熱心に議会で答弁されています。そんな政治姿勢が有権者に支持をされているように感じます。
 ☆今回の総選挙で勝敗を分けたのは、普段の政治に対する姿勢や政治活動と、人の多いところで訴えるよりも細かく回ったドブ板選挙だと感じました。
政党の勢いだけの風まかせの政治に頼らず、政治への信頼を取り戻す事が重要です。
今回は、有権者から参政権を委託される側の努力の足りなさが、国民も耳を閉ざして低投票率を生んだと思います。
 民主党代表選挙が始まりました。前回投稿したように与党から票(支持)を取り戻せた候補がおりません。どなたが成っても、メディアに頼らず基本に立った活動をするのが鍵だと思います。

 追伸
 これまでの分析は、個人的な趣味なので大雑把な分析と考え方の一例にすぎず、様々な角度から見ると奥行きが広がります。また、詳細な分析をしても真実は一つではありません。真実とは、様々な事象が複合的に合わさっているので、錯綜したネットやメディアなどの平面的な情報に捉われると全容が見えてきません。みなさんにも、お勧めしたい趣味の一つです。

 

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 総選挙結果分析(その5)
 今回の総選挙の不思議。

 第一の不思議。
 アベノミクスの評価について国民の信を問う選挙で、与党が圧勝したと言われている。
 しかし、安倍総理の地盤では、この2年間の評価が-17,867票も下がっていた。
 私の記憶でも、総理が御祝儀として票が増える事が有っても、減らした例がありません。
 2000年以降で見ても、神の国発言で不人気だった森総理でも第42回では、142,457票と35%もアップした。人気があった小泉総理は、第43回174,374票(11%UP)、第44回197,037票(13%UP)と増え続け、自民党を下野させた麻生総理でさえ、第45回165,327票(14% UP)。そして、民主党を破壊した野田総理も、票を伸ばしきったと思えた熱狂的政権交代選挙から僅かながら163,334票と1%アップした。そして、4万4千票以上も大量に票を減らした今回でも、安倍総理よりも上回っている。
 この数字をどう読むのか、私の考えの中でも意見が分かれています。
 地元の利害に関係無く、国益を守る政治を目指している正統派の総理なのか、周囲の意見だけで国民生活に目を向けない暴君なのか、全力で戦ってもこの程度なのか、それとも対立候補も無く、特定の支持層だけで勝てるから手抜きをしたのかと、この結果は、いろいろと考えてしまう程の大事件だと思います。

 第二の不思議。
 これまでも山口4区は、選挙の度に5,000人の有権者が減少している。今回も前回との当日有権者数を比較すると、僅か2年間で-4,321人と人口減少に歯止めが掛かっていない、むしろ加速している。総理のお膝元でさえこんな状態なので、実績評価では無く、期待だけで付託された選挙だと思います。また、安倍総理自身も選挙の度に票を減らしている傾向がある。第43回140,347票、第44回137,701票、第45回121,365票、第46回118,696票、そして今回は100,829票と-15%も減らしている。
 この傾向が、野党の事前調査で引っ掛からないぐらい程度の低い精度なのか、政党候補者が居ないから手抜きで調査を実施していないのか、野党が本当に地域状況を調べる努力があれば、与党の弱点を実例として国民に示し、争点政策の名前にひび割れさせる絶好の機会だった。しかし、そのチャンスを逃した。

 第三の不思議。
 現職の総理が下野した元総理よりも得票数が少ない。
 野田元総理の選挙区千葉4区は、前回の当日有権者数494,453人から僅か2年間で443,507人と5万人も減少しましたが、119,193票と安倍総理の獲得票を上回っている。山口4区の1.71倍も有権者が多い千葉4区を数学的に比較すると、野田元総理の票を58.4%にすれば69,589票となり、社会での認識と同じになるかも知れない。
 しかし、今の最大二倍までは良いとする感覚は、人口が少ない地域のひとり1票と、人口の多い地域の1世帯と同じで、若者に投票を呼びかけても労働だけでなく権利まで不当に軽視されているブラック国家に対し納得できないだろう。
そして、数万単位で人口変動する中で、政党の風まかせの政治家が増え、地域情勢にも目を向けない現状を感じると、乱暴ですが国政選挙はすべて比例代表制にすることが、最も適していると思います。
 そうならないようにどうするかを、原始的な紙の投票インフラで考えても解決はできないでしょう。もし、選挙区で定数是正を行い、自治体からカウンティレベルを町内会ぐらいに細分化しても、いまの日本の人口変動の激しい現状に合わないと思います。

おまけ。。。

 なんか、政党の過去や現状の情勢調査は精度が粗そうですが、政党交付金で税金を使っているのなら、もっと有効に使って欲しいところです。マスメディアの調査も一次元的で後追いだから、国民の関心が高まる前に終わってしまう感じです。
 政治の世界に「たられば」は禁物ですが、未来を予見する「もし」は重要です。
 わかり易く例えると、野党は言うまでも無く、安倍内閣支持者でも強行的な政治は困ります。
 どの場合でも権力者個人が横暴になるよりも、責任の無い取り巻きが暴走するように感じます。

 与党がこの選挙で圧勝しましたが、国民の25%しか付託していない事実を感じながら政治を見て考え直して欲しい。
 日本では、成人したら投票の権利が自動的に無料で手に入り軽く見られますが、国の予算、財産、ルール、未来など、自分代わりに参政権を委ねる重要で価値の高いものです。

《私のFacebookと同文記事です》