近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

知識とは覚えるもので、知恵とは心から生み出されるもの(1)

 選挙の神様らしく参議院選挙最終日に他界した親父殿ですが、Facebookの友達からも親父殿から教わりたい事がたくさん有ったとのコメントを頂きました。

 そして、直弟子の私に期待をされていますが、残念なことに私も駆け出しの頃から雑用の傍ら勝手に会社の領収書や請求書などから取引先や業務内容を分析していたぐらい、誰かに教わった記憶はありません。
 しかし、私にとって文字通りガキの使いで様々な人と触れ合う機会が、大きな財産になっています。

 当時、親父殿は飯島清先生、三宅久之先生と一緒に、テレビで派閥の代弁者のように激論を交わしていたので、視聴者には犬猿の仲のように映っていたと思います。
 私もその一人でしたので、飯島先生の事務所へ初めてお使いでお邪魔したときに、笑顔で丁寧に飯島先生が迎えて頂いたことに驚きました。私はどちらかと言うと親父殿の奇抜な戦略よりも、飯島先生の人の心を感じる戦略の立て方に共感していましたから感激でした。

 また、国会議員の友人から「地元の税務署の講演で三宅久之先生にお願いしたいと頼まれたが、公的機関だから報酬が小額で自分が補填すると寄付にあたるから困っている」と相談され、私から三宅先生に打診したときに、報酬の金額を伝えたら絶句したのか微妙な間が有りましたが、「この世界は気持ちが大切だ!」と快諾して頂き、こうして困っている仲間(息子ですが)を助ける心意気があるから、歯に衣着せぬ激論ができるのだと教えて頂きました。

 細川隆一郎先生も私の名前が親父殿の隆義の「隆」で「隆一郎」と勘違いをされて「その名前は絶対に大成するから協力するぞ!」と色々とご尽力を頂き、公を論ずる者は心が大切だと教わりました。
しかし、やさしく教えてくれる人だけではありません。

 他府県へ立川談志師匠とご一緒した長い道中に、談志師匠から「親父さんが通っているスーパーを教えてくれないか?」と尋ねられ、「え?」と何を言っているのか分からず聞き直したら、一緒に酒を飲んだ時に「なんで、そんなに世論がわかるんだよ」と聞いたら、親父殿が質問を的確に答えてくれる主婦が集まっているスーパーを知っているからだと答えたらしい。
 ちょうど手元に世論調査のクロス集計の束があったので生真面目に、「これですかね」と即興で解析して説明をしたら、「あのな、オレが聞きてぇのはスーパーなんだよ!」と叱られました。
 私は到着まで理論で答えましたが、そんなもんでは無いと談志師匠は跳ね除けます。
 今にして思えば、出来上がった理論にはめ込む以外に「こぼれ落ちたものを感じる心が有るだろう」と立川流で教えて頂いたように感じています。

 偶然なのか共通して大御所たちから心の大切さを学びました。
だからなのか近年の政治や選挙は、知識だけのロボットが増えて、心よりも同じような課題と知識の発表会だから、違いが分かりづらくなっているように思えます。

 有権者も政策で選ぶと言っていますが、政(まつりごと)は人が行うので、知識だけでは上手く機能はしないでしょう。そして、都知事選挙でも、心に響くものは候補者の心という戦略が功を奏した戦いだった感じがします。

 以前、親父殿が元気なときに鳥越俊太郎氏はどんな人物なのか聞いた事があります。人の個性を見抜く達人の親父殿が、誉めるのでも否定でも無く「男の癖に香水の匂いが強かった」という印象しかなかった事に驚きました。

 親父殿の興味が沸かない鳥越氏と似た経歴でも、80年代後半に親父殿とニューヨークへ行ったときに、「彼は面白いぞ!」と朝日新聞時代の筑紫哲也さんを呼んで酒を飲んだら、「オレみたいな不良ともっと付き合え!」と酔っ払って親父殿にからみ、自分なりの角度で語り、写真を撮ってあげると私の一眼レフカメラで隣の綺麗なお姉さんとのツーショットを撮影してくれました。帰国後にフイルムを現像したら、ピンボケした私の股間やお姉さんと私の顔の半分がフレームからはみ出していた。(笑)
 それでも、これが筑紫哲也の世界か~と自由人たる筑紫さんを妙に感動する自分がいました。その後、『NEWS23』のキャスターとしてテレビに映る物静かで常識のフレームから飛び出さない筑紫さんを見て、余力を残して伝える奥行きを感じました。

 第一線の方々から教わったのは、手法や知識では無く、このような感じです。
 知識は頭にインプットするだけで本を読めば事足りますが、知恵は心が生み出し新しい世界を作り出すからでしょう。

 大切な事を教えて頂いた先人たちへ、感謝と共に、ご冥福をお祈り申し上げます。

 追伸
 おかげさまで電子投票を構築する上で良い手本となり、自信を持って取り組めました。
 次回は、そんな視点で書いてみます。

《8月15日投稿のFacebookと同文》