近代化した民主主義へ

選挙、電子投票などについてを語り、政治の幼稚さをぼやきます。(笑)

日本初の電子投票で統括管理者として選んだ投票日当日の仕事

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 写真は平成14年6月23日に、日本で初めて電子投票を実施した新見市の開票所です。

 開票直前に現地で唯一の記念撮影をした、私にとって貴重な一枚です。

 世間では戦々恐々と見守る中で、重責のある統括管理者とは思えないほど緊迫感のカケラもない真ん中の若造が当時の私です。

 投票日当日の投票期間中は、プレスセンターで記者の方々への説明が私の仕事でした。

 日本初の実施とあって、300人を超える記者団が視察に訪れ、市側もトラブル発生から20分後には発表するなど誠実な対応をして頂いた。  しかし、若さ故なのか、経験不足から想定外の大変な思いをした地獄のエピソードをご紹介します。

 プレスセンターは孤立した場所に在り、外部からの連絡も入らない状況なので、市選管の発表を受けた記者たちの質問で初めて状況を理解して説明をする形態でした。このようなオープンな体制ができるのは、電子投票が私の開放的な性格とは無関係に、統一された運用操作とシステム動作により単純明快に説明ができるからです。

 でも、サービス精神旺盛な私は、記者会見方式をとらずに投票システムの前で記者たちに囲まれて再現しながら説明をしたら、なんと! 一通りの説明が終わっても「〇〇新聞の△△ですが」と横から同じ質問を受けました。私は「いま、説明しましたよね」と申し上げると、「◇◇新聞社への説明でしたよね」と言われ、数え切れないほどの記者一人ひとりに輪廻の如く説明させられた。

 この時初めて記者は個別の新聞社代表であって、記者団という集合では無い事を知りました。説明しながら脳裏では「300人全員にするのか?」とか「またヤルの?」とか「さっき横でうなずいて居ただろ!」 「気力が続かない…」「もう勘弁して!」と素の自分が心の中で悲鳴をあげていたのは言うまでもありません。

【トラブルについての考え方】

 投票開始前に電子投票機を立ち上げ、午前7時に投票所へ最初に来られた選挙人(有権者)と投票立会人に投票箱の空虚確認と、それと同様な事を電子投票機で0票確認を行います。しかし、誤って起動時に0票確認までしてしまうケースがありました。

 まだ、投票開始前の準備行為なのでリカバリーは可能でしたが、認知度の低さから国民の誤解や例外的な運用による従事者のミスが起こらない様に投票機自体の停止と使用禁止を取り決めていました。

 ですが、常識的には準備行為期間中はトラブルに当たらず電子投票への理解と共に緩和しようと思っています。

 しかし、我々以外の実施企業が投票期間中に、投票機器の故障でも再起動させて使用継続をした結果、票が合わない重大な事故を起してしまい、とばっちりで、いまでも我々が提供する実施自治体職員は厳密な運用を行っています。ですが、もう手馴れた感じですね。(小笑)

 追伸
 現存の”紙の投票システム”最大手の提供会社ムサシも、我々と同じ対応をして頂ければ選挙無効にならず、今頃は当たり前のように電子投票が多く使われていたでしょう。

 電子投票の普及は民主主義のバロメーターです公明正大であって隠蔽体質ではできません。

 真似るなら電子投票に取り組む姿勢まで取り入れて頂きたい。「機械だから安心」では無く、「信頼して機械が使える体制」が大切なのです。